病気解説シリーズ – 緑内障 –

病気解説シリーズ

緑内障とは?


緑内障は、視神経や網膜に変化を引き起こし、最終的には視力の喪失につながる可能性がある病気です。


眼球内は眼房水という液体で満たされています。空気の多いボールは硬く、空気を抜くと柔らかくなるのと同様に、眼球内の眼房水の量が多いと眼球は硬くなり、少ないと柔らかくなります。目の中にある水(眼房水)が溜まり、その結果、目の圧力(眼圧)が上がります。この状態が続くと、目の痛みや視覚障害が起こる病気です。視覚機能は一度損傷すると回復しづらいため、できるだけ早く眼圧を下げる必要があります。

※緑内障という名称は、昔のヨーロッパでこの病気によって失明した患者の眼球が緑色に見えたことから由来しています。

緑内障の症状

  • 黒目の部分が白く濁ったり、大きく見える
  • 白目の部分が充血する
  • まぶしそうに/痛そうに瞬きをする
  • 瞳孔が開く
  • 物にぶつかる

治療方法

視力がある場合の初期治療

点眼治療
初期は数時間おきに点眼を行います。それでも眼圧が下がらない場合は痛み止めと併用しながら利尿剤を使用して処置を行います。
これでも眼圧が下がらない場合は、外科的な手術を行うことが多いようです。

急性緑内障(発症してから日が浅く視力がある)の場合

隅角インプラント(バイパス手術)
目の中に医療用チューブを設置し、継続的に眼房水を汲み出して眼圧と視覚を維持する方法

ダイオードレーザー / マイクロパルスレーザー/エンドレーザー
眼房水の産生や排出を医療用レーザーにより調整する方法

慢性緑内障(発症から時間が経過し視力の回復が見込まれない)の場合

強膜内義眼挿入術
目の中の組織を取り、代わりに医療用シリコンボールを挿入する方法

眼球摘出術
眼球を摘出し、まぶたは閉じた状態になるよう縫合します。

硝子体内薬剤注射
水晶体より後ろにある硝子体というゼリー状空間に少量の薬を注射し、眼房水を作る組織(毛様体)を壊すことで目の中の水(眼房水)の産生を抑える方法

かかりやすい犬種

  • アメリカン・コッカー・スパニエル
  • イングリッシュ・コッカー・スパニエル
  • グレート・デーン
  • ケアーン・テリア
  • ゴールデン・レトリーバー
  • サモエド
  • シベリアン・ハスキー
  • シーズー
  • シャー・ペイ
  • ダルメシアン
  • チワワ
  • チャウチャウ
  • バセット・ハウンド
  • パピヨン
  • ビーグル
  • フラットコーテッド・レトリーバー
  • フレンチ・ブルドッグ
  • プードル
  • ボストン・テリア
  • ワイヤー・フォックス・テリア
  • 秋田犬
  • 紀州犬
  • 柴犬

緑内障を発症する原因

主に先天的・遺伝的な房水の流出路の形成異常、眼球内の炎症や水晶体の脱臼、眼球内の腫瘍、ブドウ膜炎などが原因で眼圧が上がる目の病気から派生する緑内障があげられます。

治療費の目安

外科手術を行う場合の平均な治療費は約15万円程度のようです。

保険の適応について

ほとんどのペット保険で補填の対象になっているようです。
緑内障は完治が難しく、長期的な治療が必要になりますので、目に違和感を感じたら早期受診をお勧めします。

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